入国は特に問題もない。とりあえず、空港内の銀行で2000円両替をしてみる。レートは1円=2090リラ。次にシティバンクのカードをATMに突っ込んでみた。500万リラ単位でしかおろせなかったが、トルコでも問題ないようである。東京で訊いたときは、回線に問題がある(引き出せない)とはいっていたが・・。とりあえず、換算表を紙に書いて金銭感覚を覚える。
市内行きのバスは22:00で終わっているので、市街に行くにはタクシーしかない。行ったところでホテルを真夜中に見つけるのもつらい。空港内の案内所で斡旋しているのは最低$60だ、$10ぐらいから安宿があるので、少し高い。よって、朝まで空港に居ることにする。まあ、初日の宿を日本から取らなかったのも、はじめから空港で寝るつもりだったが。
到着ロビーは少し寂しそうなので、出発ロビーに移動し、3人掛けのソファーをGETする。KLMから持ってきた毛布を枕にして寝たが、午前3時ごろからTシャツ1枚ではつらいぐらい冷えてきた。朝6時、到着ロビーに移動。明るくなるまで、塩野七生の『コンスタンティノープルの陥落』で時間をつぶすことにした。
本を読んで明るくなるまで待っていると、日本人から声をかけられた。彼女はトルコ航空でテヘランに行っていて、帰りのトランジット中であった。3時に空港に戻る間、一緒に市街まで行くことになった。
7時に空港バスに乗り込む。市街までは80万リラ、最新の地球の歩き方には35万リラ(285円)と書いてあるので、半年で2倍になっている。旧市街に近いアクサライというところで下車する。
アクサライからはトラム沿いにまっすぐ歩くと旧市街に行ける。15分ぐらい歩くとアヤソフィア聖堂が見えてきた。ちょうどその時、トルコ人が日本語で話しかけてきた。彼によれば、彼は焼き物のギャラリーをやっていて、日本へは陶器の産地によく行くらしい。話しながらトプカプ宮殿に行こうとすると、まだ早いから家にきてチャイを飲んで行けと言う。トルコの本には、トルコは親日感情がすごくよくて、トルコ人は、日本人が持っている「親切」の観念を越えるほど親切だと書いてあるが、旅の初日からこの「親切」に当たるとは思わなかった。結局、不安の念を抱きつつも、彼の家に行くことにした。
彼の家でチャイを飲んだ後トプカプ宮殿に再び向かう。トプカプの入場料は50万リラ。本によればトプカプの中にあるハレムは必見と書いてあるので、ハレムに行った。ハレムはさらに50万リラかかる。ガイドに附いて見学するが必見というほどでもない。
次に「スプーン屋のダイヤモンド」と「トプカプ短剣」を見に行く。これは48カラットのダイヤで、これを見つけた漁師がスプーン3本と交換したことから名前の由来がきている。トプカプ短剣は世界最大のエメラルドが鞘のところに取り付けてあって、これを見るなら50万リラも払う価値はあるだろう。トプカプを見た後、彼女は空港に向かった。私は、例のトルコ人に「紹介」された旅行会社に行った。
スルタンアメフット地区の旅行会社の店頭には怪しい日本語のトルコ国内周遊ツアーの案内が多い。多くの日本人旅行者はその表示につられるか、道でトルコ人に声をかけられるかする。はじめは、この手のツアーに参加せず、今夜のカッパドキアまでの夜行バスのチケットだけを買うつもりだったが、カッパドキア・パムッカレ・エフェスの4日間一部日本語ツアーを310US$で提示されたので、結局ツアーを買うことにした。JTBのカッパドキアツアーは6万円だから、かなり安い。一般的に、外国人相手の商売はだいたいぼったくるもんだが、トルコは極めて良心的である。ホッチキスで綴じた数枚のバウチャーが渡して、夜19:30にまたここに来いと言うので、荷物を預かってもらってまた町に出た。
その後、アヤソフィアとブルーモスクを見物。海峡を見ようと、ガラタ橋のたもとまで行くと、お目当ての鯖サンド売りを発見。1個30万リラ。安かったので2つも食べてしまった。ガラタ橋のたもとにはエジプシャン・バザールが立っており、香辛料の匂いが凄い。エジプシャン・バザールからグラン・バザールは本によればつながってと書いてあるが、あまりに路地が複雑でよくわからない。とりあえず、露天が出ている路地を歩いていくと、朝来たトラムの通りに出ることができた。
再びあの旅行会社に行くと、日本人が2人待っていた。カッパドキアのツアーは彼らと一緒に回ることになる。彼らは失業中で、2週間トルコに滞在したのち、シンガーポールに渡って、そこからは陸路で上海に行き、12月ごろ帰国すると言っていた。彼らは町を歩いていたら、別の旅行者(在日韓国人)に連れられて、この旅行会社に来たようである。どうやら、この旅行会社は当たりらしい。時間がくると、旅行会社のオヤジに連れられて、バスに乗り込んだ。バスはベンツの大型バスで、カッパドキアまで、9時間の道のりだ。次の日はこの旅最大のハプニングが起きる