3/30 ニース
朝起きると車窓から地中海が見えた。まだイタリアであるが、ほどなくして国境駅ヴェンテミリアで停車、同室のイタリア人はここで降りていった。ニースまで20kmで、途中モナコに停車した。町並みや駅の表示がフランス式のものになり、フランスに来たことを実感、1年ぶりにフランス入国を果たした。
9時にニース到着。駅で『地球の歩き方』を開いてみると、またまたたいへんなことが発覚。ニースのほとんどの美術館は火曜日が休み。インフォメーションに行って聞いてみると、ニース美術館がやっているということでそこに行くことにする。駅から南に歩きだして、15分ぐらいで海岸にやってきた。プロムナード・デ・ザングレPromenade des Anglais(イギリス人の散歩道)というとこらしい。海岸に沿って豪華なホテルが軒を並べ、小石で覆われた浜辺が続き、スノッブな人々が歩いている。水着の人はいないわけではないが少ない。10分ぐらい海岸を歩いてニース美術館(25F)に着いたが、これといって有名な絵はない。12時に昼休みで閉まったので、昼飯に行く。ここから携帯してきた『旅のグルメ・フランス編』が大活躍する。
とりあえず『旅のグルメ』に載っているBoccaccioの前まできてメニューをチェック。伊勢エビのブイヤーベースと海の幸のパエリアがスペシャリテ(得意料理)になっているが、2人前からなっているので断念した。次にChez Michelに行った。店頭に日本の雑誌の紹介記事やレポータの紹介文が張ってあって日本人をターゲットにしているようだ。もちろん日本語のメニューもある。しかし、昼時なのに客は誰もいない。次にLa Mérndaに行った。小さい店で、店頭に手書きのフランス語のメニューの黒板が置いてあって、ほぼフランス人で満員だ。これは本物に間違いないと確信してここに決めた。
昼のメニュー
前菜:Pâte pistou ピストゥーのパスタ(59F)
メイン:Daube à la provençale プロヴァンス風牛肉の蒸し煮(66F)
ワイン:Vin niçois ニースの赤ワイン750ml(80F)
前菜はピストゥー(バジリコ・にんにくをすりつぶしてオリーブ油でのばしたもの)をきしめんみたいな緑のパスタで絡めたもので薄味だった。メインはトマトと赤ワインのソースの牛肉。特筆すべきはワインで、今まで飲んだものの中でもっともうまい。ラベルをみると格付けワインではなくその下のランクの地ワインと分類されるものだ。日本の売れている「フランスワイン」は格付けワインというものを持ってきているのだが、とても飲めたものではない。ワインの輸入商は、日本の売れている「フランスワイン」が本国で飲まれているものに似ても似つかぬものであるかを知っているはずであり、あんなものを売り続けていれば、いずれブームは終わる。一人で1本は多いのでハーフボトルをくれといったら、半分まで飲めば半額にするということだが、あまりのうまさに1本空けてしまった。またニースに来たら(たぶん来るだろう)、是非ここに来たい。レストランを出て、酔いさましにまた海岸のベンチに座った。結局、午後は海でぼうっと過ごしてしまった。あのワインを飲めたのだから決して時間の無駄ではない。
夕方、駅に戻って次の目的地を決める。ニースからはパリとボルドー行きの夜行がある。いまになって思うとボルドーに行くべきだったかもしれないが、パリまでの2等クッシェット(576F、11592円)を買った。
19時20分にニース発で、22時にマルセイユに着。ここでパリ行きに乗り換え。乗り換えの合間に駅のマックでチーズバーガー(8.5F)。フランスで食事をするという貴重な機会をこんなものに使ってしまった。22時30分マルセイユ発、パリに向かう。